日本におけるIT人材不足という課題を解決していきたい

株式会社VTIジャパン
最高執行責任者
グエン・ハイ・ズン氏

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理系エンジニア教育に力を入れてきたベトナム

Q. まずVTIジャパンの事業内容について教えてください。

VTI社はベトナムのハノイに本社を置くIT企業です。VTI社はソフトウェア開発および自社開発ソリューションの販売を行っており、全体で1,250名ほどの社員がいます。

VTI社の設立は2017年ですが、クライアントには日本の製造業の会社が多かったため、翌2018年には日本法人を設立しました。日本法人の人数は約130名、多くはベトナム人のエンジニアですが、日本人スタッフもいます。

ベトナム人スタッフは、日本の大学を卒業しているか、日本企業で5年以上の勤務経験を有している人が多く、日本語でのコミュニケーション力の高い優秀なメンバーが集っています。日本法人では、主に営業および要件定義、設計等の業務を担い、開発はベトナムで行っています。

Q. ベトナムでは御社のようなIT企業が多く生まれていますね。

元々、ベトナムの産業の中心は農業で、経済発展が遅れていました。そうしたなかで、政府は国家戦略として理系エンジニアの教育に注力しており、インドを見習ってIT企業の成長を後押ししています。IT企業については、税制の優遇措置が充実しており、起業しやすい環境も整っています。ITインフラの整備にあたっては日本からの支援も大きかったです。

大手製造業の集積地である名古屋に注目、名古屋市からの支援も受けた

Q. 名古屋拠点設立の経緯について教えてください。

名古屋の拠点は2023年5月に設立しました。製造業を中心にクライアントの拡大を狙っており、大手製造業の集積地である名古屋に注目しました。現在は主に営業拠点として、数名のスタッフが常駐しています。

Q. 名古屋拠点設立にあたって、何か行政からの支援は受けましたか?

オフィス賃料の補助や展示会出展のサポートなど、手厚いサポートをいただきました。元々、拠点設立を検討していたのですが、そうした支援メニューもあって設立を早めたという経緯もあります。

昨年はメッセナゴヤにも出展し、名古屋市の河村市長もブースに足を運んでくれました。メッセナゴヤでは、50社以上の企業にアプローチすることができ、そのうちの数社とは具体的な提案まで進んでいます。

Q.ズンさんも名古屋によくいらっしゃるのですか?

私はベトナムの大学でITを専攻し、ベトナムの企業に就職して以来、ずっと日本企業と関わってきました。2006年以降はずっと日本に住んでいます。

日本での拠点は東京ですが、名古屋は大手のクライアントも多く、とても大事なエリアなので、月に数回は訪れています。食べ物が美味しくていいところですね。ウナ丼、味噌カツ、味噌煮込みうどんが好物です。

また、子どもと一緒に名古屋市科学館を訪れたこともあるのですが、とてもファミリーに優しい町という印象を持ちました。

日本はベトナムとの共通点が多く、ベトナム人にとっても暮らしやすい

Q. 日本に長くお住まいとのことですが、ベトナムの方にとって日本はどうですか?

とても暮らしやすい国です。交通インフラは整備されていますし、コンビニも至る所にあって便利です。

日本とベトナムはとても似ていると思っています。箸を使ってお米を食べる、という点で、食文化も共通していますし、同じように中国から影響を受け、かつてはベトナムでも漢字が使われていたので考え方も似ている気がします。

もちろん、日本の方が早くから経済発展を遂げ、成熟した国なので、何もかも整備されています。ベトナムはまだ成長途上なので、日本の当たり前がベトナムの当たり前ではなく、最初の頃は仕事をする上で戸惑うこともありました。ただ、そうした戸惑いも経験を積むなかで解消していくことができ、クライアントからの信頼を得ることができています。

日本のIT人材不足の解決と自社ソリューション販売の強化

Q. 最後に、今後のビジネスの展望について教えてください。

システム新規開発及びシステムの老朽化が進む中で、今後の日本ではより多くのIT人材が必要とされます。VTI社としては、そうした日本のIT人材不足を支援していきたいです。優秀な人材を揃えていき、日本企業からの一層の信頼を勝ち取っていきたいと思っています。

また、今後は自社開発のソリューションにもより力を入れていきたいです。 MES-X生産管理システム(製造実行管理、倉庫管理、保守管理、品質管理)、小売業関連のソリューション、生成AI、データ分析など、幅広い分野で自社開発製品も手掛けています。こうしたソリューション展開をより強化していこうと思っています。